スイスの写真家・JH エングストロームは、ニューヨークと並んで長く写真の系図をもち、無数の写真家がアイコニックな建築物や往来の激しい通りに影響をうけてきたパリに、20年以上ものあいだ制作と生活の拠点を置いている。
この本は、典型的なパリの光景を収録したカタログでは全くないが、その代わりにアーティストの不運な出来事、好きなもの、そして街頭やバー、アーティストのロフトなどでの出来事など、ありのままだが叙情詩的な描写でもって、もっぱら個人的なパリを表現している。彼は自分自身で選んだ都市での、勇敢で何でもありの人生におけるガイドツアーへと誘う。
これらの写真は、フォトグラファーとして、また人としてエングストロームに大いに影響を与え、鼓舞させた都市であるパリに対する一種のオマージュである。
スリップケースにおさめられた美しい装幀で仕上げ、1991～2012年に制作された250点のカラーとモノクロのビジュアルを収録。アーティスト自身の声と視野の過渡期であった肝心な時期をたどる。
close