アートと産業が接するとき、新たな相対的方法論が生じる。それはオーガン（器官）・インダストリーという名で通るかもしれない。アーティストはその企業で時を過ごし、彼または彼女の身体をコンテンツでいっぱいするポイントについてその環境と親しくなってゆく。企業、あるいは産業がアーティストの有機体になり、そうやって世界が変化していく浸透という機能がはじまっていく。
このケースにおける企業とは、家庭用キッチンのレンジフードにおける世界的なリーダーである「エリカ」であり、アーティストはシッシ。折衷的で多芸多才のアーティストはエルマーノ・カーゾリ・ファンデーションに招聘され、ファンデーションのアートディレクターであるマルセロ・スマレッリの主導によって空気浄化処理についての新たな記事を手がけるために、極めて実験的なプロジェクトに参加した。
この本では、シッシが手がけた10通りの「志の高い」レンジフードを紹介している。アーティストはそれらを手書きや手綴りの本へと変化させた。結果はアーティストの記録となり、人間の身体のような新たな産業のマニフェストが代替のシナプス、創造的な収縮、インスピレーションの鼓動を通じて互いに影響しあって、器官を成り立たせる。ヒトの輪郭は突然、本のインデックスとなり、レンジフードの珍しいコレクションと通じて私たちを害除する準備を整える。長いまつげをもったものもいれば、織布をまとったもの、また車輪と風船を携えたものもある。このプロジェクトに見れるシッシのクリエイティブな思考プロセスは、美と機能性を組み合わせて計画される、新たなデザインのフロンティアに向けた重要なステップである。
シッシは1996年にボローニャ芸術アカデミーに入学したことを機にアーティストとしてのキャリアをスタート。ボローニャのヴェンチュローニ大学にアーティストとしてレジデンスを獲得。彼女のアートワークの根幹には、人間の身体についての学習や執筆がある。2000年に彼女は平行して解剖学を専門としている。展覧会や受賞歴多数。
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