本書は写真家ジャン・クロード・ポンデヴィの初となるモノグラフであり、エリック・ラインハルトの詩がページをめくる度にゆっくりとちりばめられている。
ジョン・クロード・ポンデヴィは10年以上かけて、地理的あるいは世俗的な標識になるようなものが写らない風景をベースとした写真作品を制作し続けている。映画のようなフレーミングによって捉えられた内観・外観写真を通じて、彼は「映らない空間」、つまりわたしたちの記録されない現実で起こる空間にフォーカスをあてる。建築物は抽象的なフォルムへと変化を遂げ、そのなかで光、影、透明なものが現れては揺らぎ、奇妙な感覚を引き起こす。彼の削ぎ落していく構図では、窓・階段・梯子といったわずかな要素が、この浮遊するような世界のなかで幕間や物語の断片をつくりだす。作家のことばは、わたしたちの想像を刺激するこれらの風景をわたる旅へと連れ出す。
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