ハンス=ペーター・フェルドマンのアーティストブックは彼の作品の中でも非常に重要な役割を担っている。本書はフェルドマンの大規模な国際巡回展に併せて出版されたが、制作に関しては本人が進めるがまま、編集側はほぼ手を加えていない。有名な作品の横に新しい作品を並列するのだが、その方法が大変見事であるがゆえ読者は新しいフェルドマンの作品体系へと自然に移行できるのだ。プライベートな写真アルバムの中や自身のアパートへと見るものを誘い込み、ウェイターとして働いていた時代やストリートアーティストとしてのかつての自分のポートレイトなどの物語を回想する。大判の両面折込みページに書かれている本からの引用などを読むと、フェルドマンがブックアーティストとして若いアーティストたちから絶大に支持されている理由がわかるはずだ。
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